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CO2地中貯留

Carbon dioxide Capture and Storage : CCS

CO2 地中貯留のための漏洩修復技術の開発

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地球温暖化の主な原因となっているCO2を削減するには、省エネルギー化や自然エネルギーの利用などが挙げられます。これらは非常に大切でこれからも研究されていくべきですが、削減しなければならないCO2の量は膨大で、かつ出来る限り早期に行われなければなりません。この点で上述の技術だけでは目標の達成が今のところ困難です。
そこで今注目されているのが、「CO2封鎖技術」です。これは発電所や工場などのようなCO2の大規模固定発生源から排出されるCO2を分離、回収し大気から隔離されたところに封じ込めるというものです。深度3000mより深い海中では海水よりもCO2の密度が大きくなることを利用して海底にCO2のプールをつくる方法や、炭層にCO2 を圧入して吸着させ、かわりにメタンを取り出す方法などが考えられています。

 

CO2地中貯留とその問題点

CO2封鎖技術のひとつに「CO2地中貯留」というものがあります。地下1000m程度にある、ガスをも通さないような地層(キャップロック)で上部を覆われた帯水層にCO2を圧入し、地下に封じ込めるという技術です。日本では新潟県の長岡で地下にCO2を圧入する実験が行われており、海外では既に大規模な地中貯留を行っているところもいくつかあります。
圧入されたCO2は帯水層内を上昇し、キャップロックの直下にたまっていくのですが、もしキャップロックに調査ではわからなかったき裂や部分的に透水性の高いところがあると、そこからCO2は漏れ出してしまいます。特に、地殻変動の激しい日本ではキャップロックを縦断する活断層が存在、あるいは、地震等によって新たな断層が発生し、そこを通してCO2の漏洩が起こる可能性が大きいと考えられます。そこで、地下水よりも比重の小さいCO2の浮力上昇をミクロンからキロオーダーに及ぶ様々な天然/人工バリアーを利用して抑制し、長期に渡って安定化させる技術が必要とされています。

 

現位置反応法による人工キャップロック形成法

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人工的にキャップロックをつくることが出来れば,CO2が漏れ出している部分をふさぐことができます。そこでわれわれの研究室では、「現位置反応法」という独自の方法による人工キャップロック形成について研究しています。
現位置反応法とは、地下で化学反応をおこさせて地層の透水性をさげることでキャップロックを形成する方法で、次のようなプロセスから成ります。

1.地下のキャップロックをつくりたい場所に、CO2 と反応して固体を生成するような溶液(A剤)を注入する。
2.その下部に、別に圧入されたCO2 が上昇してくる。
3.CO2がさらに上昇してA剤と混ざると、化学反応をおこして固体を生成する。
4.生成した固体が地層の間隙につまることで透水性をさげてキャップロックの役割を果たす。

この方法の特徴は、A剤に完全な溶液を使用することで、地層の微細な間隙に広範囲に浸透させることができるという点です。
もし巨大なキャップロックをつくることが出来るようになれば、キャップロック構造をもたない帯水層にもCO2を圧入することが可能ですし、圧入されたCO2はキャップロックの形状に沿って広がることからCO2 の広がる方向を制御することも可能であると考えられます。